有馬靖彦の
クラリネット吹きのひとりごと  2005

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2005年12月号

「むかご」を拾いに行ったのは一週間位前だった。
「むかご」の素揚げを熱いうちに塩をかけ、酒のつまみにしていたが売っているとは知らなかった。
 地元の人に聞くと、ご飯に炊き込んでも、煮ても美味しく食べることが出来ると言っていたが、素揚げが一番好きだ。
 〔むかご…やまいもの葉の付け根にできる球状の芽で地上に落ちて、また新固体を生じる食物〕と国語辞典に書いあった。
 自然の美味しいものには目がないが、旬のとれたては海の幸も野山の幸も最高だ。
 最近は季節感が無く、いつでもスーパーに行けば売っているが、何か味が違うと感じる。
 毎年、甲府の「山梨新酒ワインまつり」に招かれ演奏しているが、甲州百目柿は食べたことがなかった。すぐに食べたかったが渋柿と聞き驚いた。15日位テ レビの上に乗せて待っているとすごく甘くなると教えてくれた。
 食べるのが早すぎたのか渋かったのが残念。来年は甘くなるまで待つぞ!

2005年9-11月号

 花の命は短いとは知っていたが、ラベンダーが一週間で刈り取るとは知 らなかった。
 写真やテレビで見たパッチワークみたいな彩りの花畑を見ようと思っていたが、刈り取られた後なので残念だった。
北海道のヘソのまち富良野の学校コンサートに出演するので泊まるホテルでラベンダーのことを聞いた。刈り取ったラベンダーはドライフラワーにするそうだ。
 予定を変更し、ぶどうヶ丘公園に行くことにし、散歩かたがた歩いたがかなり疲れた。山の山腹に並ぶ赤い屋根のワイン工場が見えた時は壮大な北海道を感じ た。
 ワインの製造過程を見学、十勝連峰と広大な田園風景のパノラマを眺めながら試飲をした白ワインの味は忘れられない。
 帰りは歩く気がしなくタクシーにし、美味しいと評判の蕎麦屋につけてもらったが定休日だった。別の店に行くと支度中の看板しかなく昼はビールとラーメン にした。
 夜は「いろはにポテト」など面白い名前を付けた北海道の料理をつまみに酒を楽しんだ。

2005年7-9月号

 海は熱帯魚の群れでいっぱいだった。さまざまな色のきれい な魚が躍るように泳ぎ回っていた。
 当時のガム島はまだアメリカ軍の基地ばかりみたいで、現地の人たちの道路はホコリまみれで観光地とは程遠かった。
 基地内の海岸はきれいに整備され、白い砂と青い海はギラギラと照りつける太陽の輝きはまるで映画の中のリゾート地に来ているのかと思わせた。
 海の底には熱帯魚の踊りの間からタニシのお化けみたいな三角の大きな巻貝がうようよといた。仲間の誰かが焼いて食べたら美味しいかもしれないなあ…と 言った。
 つかみ取りの貝は焼いて食べた。なかなか味が良く美味しかったが、6人いたメンバーのうち2人はお腹の調子が悪くなり、トイレに行きは戻りの羽目になっ てしまった。
 何でもなかった4人は原始人かと言い、最初になまこや蛸を食べた人はスゴイと大笑いの演奏旅行になった。

2005年6月号

 今年も蕗を採りに山に行ったが、蕗は採れたてが当てにしてい た姫竹にはお目にかかれなかった。
 春は山野菜を採りに行く楽しみと、旬の味を味わえる季節がやってくるのが待ち遠しい。
 蕗は魚卵と煮て、筍は伊豆の友人が送ってくれた新鮮なものを湯がき、上の細いところは刺身で、太い方は鰹節と煮て、つくしは胡麻和えで、ほろ苦いふきの とうは天婦羅で食べた。
 なかなか手に入らない山葵の茎は伊豆の天城まで買いに行き、甘酢に漬けて美味しく食べたが、遅かったせいか山葵の花は終わっていたので、今年は食べるこ とが出来なく残念だった。
 最近は季節感がなく冬でも夏のものが出回っていて本当の季節の味はどこかにいってしまったのだろうかと思う。
 秋に出回る秋刀魚を炭火で焼き食べる日を待ちわびながら酒とつまみの世界を堪能している。
 「春風が 運んでくれる 旬の味」

2005年5月号

 空港の手荷物検査ゲートで「ピー」と鳴った。
「ポケットの中から金属製の物をトレイに入れて、もう一度ゲートをお通 りください。」
 小銭、カギ、財布、数個のライターを出した。無事ゲートを通過した が、まだ関門が残っているとは知らなかった。
「ライターを機内に持ち込めるのは一つだけです。」
「え・・・一つだけですか」
「そうです。あとは帰りに受け取ってください。」
「いいです!いりません。」
「それではこの箱に捨ててください。」
「いやです!勝手に捨ててください。」
以前は持ち込めたと思っていたが、いつの間にか規則が変わったか知らな かった。
 タバコは世界中で嫌われ者になっているが、愛煙家はタバコとライター は一対でどちらが欠けても吸えないので、背広に、ズボンに、カバンにと多く持っている。
 愛煙家はますます肩身の狭い時代になったと思いつつ、機上の人になっ た。
   ・・・今は一つも持ち込めなくなったとニュースで 聞いた。残念!・・・

2005年4月号

 旭川駅を出て第一歩を踏み出した途端、つるりと 滑り浮き上がったと思ったら思いっきり地べたに体当たりしていた。
 弘前では横に滑り、道の横に降り積もった新雪のクッションに助けられ 痛くなかった。
 大館に行くことになり、靴は底にギザギザの付いたもの、手袋、マフ ラーと完全防備で転ばず、寒さにも負けず町を歩き回った。
 リコーダーで古楽の演奏を楽しみ「古楽&ギャラリー」の喫茶 店でおいしいコーヒーを淹れているマスター。
 34年の長きに亘り「舌先三寸御意見棒」というキャッチフレーズで 「てんぷら」がメインの飲み屋のご夫婦。
 手作り蝋燭の「灯火(ともしび)工房」ではキャンドルが窓に反射し、 雪景色の庭には幻想的な世界を作っていた。
 ピアノと歌のご夫婦は、六本木か銀座の倶楽部かと思うような素晴らし いお店を営業しながら演奏していて、今回ゲストに迎えてくれた。クラリネットを吹き、楽しい時間とお酒を堪能し、いろいろな人達と出会えた東北一人旅だっ た。

2005年3月号

 愛用の酒ビンが新しくなった。「有馬靖彦の酒」と友人Sが横浜で「のんき」ラベルを書いてくれた。
 音楽好きのSはライブがお気に入りで、デパートの特設会場で日本酒を買ってもらい白いラベルに客の望む文字を書いていた。
 横浜の飲 み屋で何年ぶりかに杯を傾け、弘前 以来の話が弾み、北国の冬の魚が美味しかった事や特に白子のさしみの味は忘れられないなど楽しく過ごせた。
 小学生の頃から習字を習い、大学では書道クラブにいた話を聞いた。クラブではつまらなく先輩に相談したら「楽しく好きなように書くのが良い」と言われて 今の文字になったと聞き、特徴のある文字は見るとすぐわかる。以前テレビで東北の飲み屋のメニューが映っていたので、彼に電話して聞いたら自分が書いたと 言っていたときの驚きを思い出した。
 音楽も楽しく好きに出来て、自分の特徴を出せればこんなうれしい事はない。いつか出せる日が来るかな・・・
 今晩は北国青森の「のんき」ラベルの酒を飲むぞ!

2005年2月号

 母が生卵を持って走って追いかけてくるのが日課だった。小学校へ行くのに家を走って出ると、必ず途中で追いつかれ生卵を飲まされていた。今では生卵を飲 むことや、熱い炊き立てご飯に生卵をかけ、更にしらすをまぶして食べるのは好物のひとつになっている。
 先日、卵好きの人が面白い話をしていた。小さい頃ひとつの卵をかき混ぜてみんなで分けて食べていたが、病弱の姉はひとつの卵を食べていたのがうらやまし く、大きくなったら一人でひとつの卵を食べたいと思い、今では卵を毎食食べていた。ところが!
 ある日、医者にコレステロールが多すぎると注意され、どんな食生活ですか?と聞かれた。
「まるまるしかじかですが、卵は毎食食べています」
「それは良くないですね。一日一個にしなさい」
毎食でも食べたい大好きな卵を一日一個にするのはつらいし大変だった。朝食に食べてしまうと昼と夕方は寂しく、朝は我慢して昼か夕方に食べるか悩むと言っ ていた。
 好きな物が食べられないのはつらいと思いつつも、好きなものを食べたり、好きな酒を飲んだり、クラリネットを吹ける喜びに乾杯!

2005年1月号

「9時5分発の喫煙席の特急券を新宿まで2枚ください」
「満席です」 わ!やばい、集合時間に間に合わない。
「一番早く着くにはどうすればよいですか?」
「新百合まで特急で行き、小田原から来る急行に乗り換えてください」  わ〜い!助かった、これで遅れないで済む。新百合から新宿までが満席だったのだ。
「特急券と京王線の調布までの乗車券1枚」
「連絡乗車券はありません。調布は新宿で買ってください」
その後がまたきつかった。何年ぶりだろうか何も持たないで立たされてい た。小学生以来かもしれない。
演奏するとは知らなかった。車のところへ行くと他に楽器を持った仲間が いた。楽器のことを訊ねなかった自分も悪いが、楽器を持って来いと言わなかった彼と苦笑い。
3曲演奏する間じっとしていた。楽器のない苦しい10分程の時間だと 思ったが恐ろしく長く感じた。
会場で流れていたBGMは楽しい曲なのに、この日に限っては悲しく聞こ えたジャイブのCDだった。



 

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