有馬靖彦の
クラリネット吹きのひとりごと  2003

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2003 12月号

雨の煙る上野公園の濡れ落ち葉を踏み締めながら、 上野の森美術館に向かった。
世界的にも画期的な試みだと云うピカソ・ク ラシック展は、ピカソの生涯でも例外的な一時代(1914〜1925)の作品を184点出品されていると云う。楽しみだ!
以前画廊でピカソの鉛筆画を見せてもらったことがあるが、多数出品され ているので何回も見て回ってしまった。
バレー団の舞台衣装のデザイン画・舞台の幕や背景画などの鉛筆画や色彩 のついた絵など多く飾ってあり、当時の舞台の華やかさが目に浮かんだ。
後に結婚するダンサー「オルガ」の肖像画はなんともいえぬ美しさと気品 に溢れていて、しばらく立ちつくし見とれてしまった。
疲れて少し休みたいと思っていたら、椅子とテレビがあった。ビデオでピ カソの紹介が流されていて、先ほど見た舞台衣装を着て踊っている昔のリハーサル場面が映っていて、絵が動く感じは何とも言えぬ感動を覚えた。
イーゴリ・ストラヴィンスキー作曲「ラグタ イム」の総譜カバーのための、丸みを帯びた「ピアニストとバンジョー弾きと犬」の絵葉書を買いたがったが無く、素案の絵葉書で我慢した。
絵に酔って酒も飲まずに帰路についた。

2003 11月号

里芋の茎みたいな物を売っていた。
「これは里芋の茎ですか?」
「ハスガラだよ」
「ハスの茎なの?」
「違うよ、畑のイモから生えてくるんだ。茎しか食べられないんだよ」
「え・・・・・・どのようにして食べるの?」
「皮をむいて短く切って塩もみでも良し、みそ汁に入れてもおいしいよ」
天城温泉会館前の売店で初めて見るハスガラなる物を買った。夜、友人と塩もみにして食べてみたが、何か青臭くスポンジみたいな食感で奇妙な味がした。日本酒が妙に弾んでしまった。
翌朝は修善寺の温泉を日指したが、「持越の湯」は配管工事で入れず「筥湯」に行くと正午からのオープンで入れず「とっこの湯」は空っぽで底が見えていた。
修善寺温泉にふられてしまったが、竹林の小径は手入れが行き届いた美しく良く伸びた竹と、竹の根元にはライトアップ用の竹筒か何気なく配置され、夜にまた訪ねてみたくなった。
韮山温泉にまわり男同士なのに「めおとの湯」にやっと入ることができ、クラリネットを持ってのひとり旅は終点が見えてきた。

2003 10月号

 坂道を下ると湯煙の立ち上る湯畑が見える草津は何度来ても飽きること はない。
草津温泉街には18も共同浴場があるが知らない所の方が多い。
 必ず入るのは「白旗の湯」と「千代の湯」だ。特に好きな「白旗の湯」 には何回入ったか思い出せないが、名前の由来を初めて知った。
 源頼朝が建久四年(1193年)八月三日浅間山麓で巻き狩りをした 時、たまたま涌き出ていたのを発見して入浴したと伝えられ、当時は「御座の湯」と言われていたのを、明治30年に源氏の白旗に因み「白旗の湯」と改名した と立て札に書かれていた。
 前にも入ったことのある「煮川の湯」は湯畑から少し離れているので、 なかなか行かないが、久しぶりに入りあらためて良い温泉だと想った。今後来る時は必ず入ろうと想いつつ帰路についた。
 以前、白根火山を通り信州へのドライブを雪で諦めたのを思い出し、信 州周りで帰ろうと渋峠に向かった。
 天候がにわかに変わり霧に悩まされながら、50ぐらいのカーブを下 り、志賀高原をぬけてやっと湯田中温泉に着いた。
 湯田中の「道の駅」で飲んだコーヒーとレアーチーズケーキの味は格別 だった。

2003 9月号

  串 カツをたのみ食べてびっくり、肉と肉の間に長ネギが付いていたのだ。

「玉 ねぎではなく長ネギが付いていますが?」

「串 カツは長ネギだよ」

「玉 ねぎではないのですか?」

「う ちは長ネギだよ」と云われ、その店には二度と食べに行っていない。

 豚 肉と玉ねぎの絶妙な組み合わせが好きなのに、長ネギとの組み合わせがあるとは知らなかった。
 精 進揚げの長ネギは好きで、かき揚げの玉ねぎも好きなのに、なぜか串カツは玉ねぎがいいのか分からないが旨いのだ。
 そ れ以来、串カツをたのむ時は玉ねぎかと聞くことにしている。しかし長ねぎに当たったことはない。面白い話しを聞いた。

「ね ぎま五本」

「売 り切れだよ」

「串 カツ二本」

「ね ぎまが売り切れだから串カツも売り切れだよ」

 やっ と分かったのは、この話を聞いてからだ。焼き鳥のねぎまにパン粉を付けてフライにしているお店もあるのだ。
で も串カツの玉ねぎが好きだ!

2003 8月号

 久しぶりに海風 が 焼きハマグリの香ばしい匂いを運んでくれた。
 九十九里浜蓮沼海岸の“海の家あきば” で海が良く見渡せるよしず張りのテラスでご馳走になった時のことだった。
 コンサートの音合わせが済み、本番までの待ち時間を楽しくのんびりと、焼きハマグリの味を堪能させてくれたことに感謝。
 少しの時間であったが、寄せては帰る波、見渡すかぎりの長い浜辺、曇り空のせいか海水浴客がまばらの間をさわやかな海風が、これから始まるコンサートの 成功を約束しているように流れていた。
 会場に帰るとき、最近は都会ではあまり見かけることがないアゲハ蝶も我々を祝福してくれていた。
 蓮沼海浜公園のシンボル・展望塔に歩いて登り、展望台から見た長い海岸線は見渡すかぎり続いていて、九十九里浜とは本当に昔の人は良い命名をしたものだ と改めて感心してしまった。
 海浜公園でのコンサートは大成功だった。わぁーぃ!

2003 7月号

 天城峠の旧道に行ったのは50年ぶりだった。舗装されていない道路で、車の通れるジャリ道に は最近お目にかかっていない。
 川端康成の「伊豆の踊り子」に刺激され、友人と湯ヶ島から浄蓮の滝をみて天城峠に行ったのを思い出 した。
 昨夜のライブはクラリネット、ギター、ピアノのトリオで楽しく演奏できたし、飛び入りで修善寺の修 復の設計をしている一級建築士がサックスで参加してくれた。
 夜遅くまでしこたま飲んだ酒はすっかり抜けて、自然の残された森林が都会の雑踏を忘れさせてくれ た。
 緑の森と一概に言えない濃淡さまざまな緑の彩りの中、旧天城トンネルを越え一般道路に出て帰路に着 いたが、伊豆に来て温泉に入らないで帰るのは何か物足りなく、急ぐ旅でないのを良いことに寄り道をした。心よく寄り道をしてくれた友人に感謝。
 緑のベールに包まれた洗心の秘湯と云われる「源泉いづみ園」に寄った。緑の木々の中に露天風呂があ り、源泉が溢れ出ている湯量の多さに圧倒されながら、のんびり温泉に浸かるのはいいもんだ。
 おみやげにもらった峯茶屋の「どら焼」の味も格別だった。
・・・音楽・酒・温泉そして旅いいな!・・・

2003 6月号

 桃の花を見に行ったのに、桃の木はピンクでない淡い緑の若葉になっていた。
 春の山梨県「一の宮」付近はピンク一面の美しい景色に変わるのに、花を見に来るには少し遅かったよ うだ。残念。
 仕方なく東名高速を通って帰ることにして甲府盆地から御坂峠に向かい河口湖を目指し坂道を走ってい るとピンク色が現れてきた。そうか標高が高くなってきたので、桃の花が盆地より遅く咲いているのだと気が付いた。どんどん上に行き、ついに満開の桃の花に 出会えた。わぁ〜ぃ・・・やった!
 おまけにと温泉に向かい、露天風呂から富士山が見えるという山中湖の「紅富士の湯」に立ち寄った。 寝湯で温まり源泉のぬる湯と繰り返し入っていると切りがなく、帰路に着いた時は薄暗くなっていた。
 旭日丘から御殿場に向って行くと霧がだんだん濃くなり暗い夜道と濃霧の曲がりくねった下り坂の運転 には悩まされた。
 せっかくのんびりしてきた温泉だったのに、濃霧はしっかりと疲れさせてくれた。
 

2003 5月号

 羽根をバタバタしている大きな黒い鳥が近くの境川にいた。こんな大きなカラスは見たこともな いし、良く見てみると川鵜なのには驚きだった。
 昔はドブ川みたいに汚れていたのに、最近は鯉を見掛けるようになったが小魚やドジョウがいるとは思 えない。
 いつの間にかカモやシラサギ、そしてカモメまで飛んでくるようになったのは、餌になる食べ物がある からかもしれない。
 大和市と横浜市の境を流れ江ノ島にそそいでいる境川もきれいになったものだと実感させてくれた。
 いろいろな鳴き声の野鳥も来るが、名前がよくわからない。ウグイスの鳴き声は特徴があり毎年聞くの でわかるが、裏の雑木林の方から聞こえてくるのは知らない鳥とカラスばかりで、今年はまだウグイスは鳴いて楽しませてくれない。
 その雑木林に向かってニ羽のカモがひょこひょこと歩いて入っていった。気まぐれに散歩に来たの か・・・? それともこれから卵を生んで子育てでもする気でいるのか・・・?
 カラスやドラ猫の仲間と、がっしりと強そうなボス猫がいるので、少し心配だ。
 

2003 4月号

 丹頂鶴を初めて遠くからチラッと見ることができた。白いキャンバスの雪原に、ひときわ目立つ 赤い頭と白い羽の中に黒いところもあり、ダンスをしているような動きは美しい絵画を見ているようだった。
 北海道の標茶高等学校音楽鑑賞会に出演のため釧路空港からレンタカーで移動中、釧路湿原の外れくら いで鶴居村の近くだった。
 寒い会場だと思って厚着をしていったが、さすが北国は寒さ対策が行き届いていて快適に演奏すること ができた。
 帰路は釧路市湿原展望台に寄り、夕暮れ時の湿原の素晴らしさに感激した。モノトーンの白一色の世界 に黒のアクセントがあたかも墨彩画を感じさせ、湿原から角度を変え遠くの町を見ると明かりがきれいに輝き、また違う美しさだった。
 景色に見とれながら屋上を歩いていたら、凍っているところに気付かず滑って転んでしまった。
 空港で珍しいおみやげを見付けた。ジャガイモに砂糖が付いたお菓子だが、甘納豆ではない甘納糖 「じゃがいもの甘納糖」を買って帰ってきた。
 北海道の内陸でも演奏旅行ができ日帰りができるのだからすごい。
 

2003 3月号

 目が覚めたら電車が単線を走っていた。本厚木から急行の箱根湯本行きに乗ったのに小田急電鉄 から箱根登山電車に乗り入れている箱根板橋駅を過ぎたところで気が付いたのだ。
 次の風祭駅で降りて小田原に引き返そうと思ったら一番前の車両しかドアが開かないとのアナウンスが あり、最後尾の車両なので間に合わず、よし次の入生田駅で降りようと思って支度をして待っていた。しかし駅では下り電車が着くと隣から上り電車が発車して しまった。ついに各駅に変わった電車で箱根湯本まで行く羽目になってしまった。
 早く家を出ていたので三島での待ち合わせ時間に間に合って良かった。タクシーで柿田川公園の中にあ るレストラン「バッカスのへそ」へやっとたどり着けた。
 ピアノとデュオ、そしてシンガーが加わってトリオの演奏は楽しい時間を過ごすことができた。お客さ んの「楽しかった」、「良かった」の声を聞いて嬉しさが倍増した。
 翌日は湯ヶ島温泉の「湯の国会館」で温泉三昧で帰路に就いたのに、また「踊り子号」で寝てしまい小 田原で飛び降りた。
 帰宅しておみやげにもらった修善寺の銘酒「目ざめても夢の中」は美味しかった。温泉・酒・音楽・い いなぁ〜いいなぁ〜
 

2003 2月号          

  木彫りの「フクロウ」を手に入れた。白木のツゲに透かし彫りでおなかの中に小さなフクロウが彫られていて可愛いのだ。
新年会の待ち合わせ時間より早く着いたので、時間つぶしにデパートの画廊を見て、今日は旨い酒が飲め るぞと思いながら歩いていたら「幸福を呼ぶ鳥(フクロウ)」と書かれ大小さまざまなフクロウに出会い見とれてしまった。気に入ったのが見付かり買い求め た。
  宣伝文には「フクロウ」についていろいろと書かれていた。

福来朗(ふくろう)   朗らかに福を呼び幸せを招く縁起もの
福籠(ふくろう)      福が籠もるものとされ幸福のシンボル
不苦労(ふくろう)   苦労知らずの幸せ
福老(ふくろう)      老いて福、不労長寿のお守り
梟(ふくろう)         首がよく回るので商売繁盛夜目が効き
                         暗闇で
も先が見通せる先見の明(めい)、
                         聴力がすぐ
れる情報を聞き逃さない

  新年にふさわしい買い物をした。電話のところで「福のベル」を鳴らし「良い知らせの福」を呼んでもらおう。
 実りある良い年になーれ!
 

2003 1月号

 道路標識が電飾されているのを初めてみて驚いた。制限速度
50キロ標識の周りに赤い豆電球が光っていたのだ。
 北福島医療センター落成記念式典に出席のため、福島市から伊達町に入ったらお目に掛かった。また会 場の周りには何もない畑の中に大きな建物が待ち受けていた。
 最新の電子機器が整備された大きな手術室が7部屋もあり、また多くの最新検査設備もあり、南向きの 病室が並んでいる中でも特別室はベッド・ソファー・シャワー・トイレ・電気調理器などありびっくり。
 近郊の外科医が患者さんと一緒に来て手術をして回復すると患者さんは元の病院に帰るシステムと聞 き、またもやびっくり。
 見学者の多さがすごく近郊の人がみんな来たのかと思うほどだ。エージェントの人に聞いたら「福島は イベントが無く郡山や会津若松に取り残されている」とのこと。
 帰りに病院長との話で
「すごい人ですね、こんな素晴らしい病院ですからね」
「これからが大変ですよ《借金コンクリート》ですから」とは名言だった。
 



 

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